【12/20】フィリピン不動産が鈍化 不動産関連投融資比率が低水準へ
フィリピン不動産市況に陰りが見えてきている。
投資金額の増加が鈍化している。とくに、不動産投資については減少が明らかだ。フィリピン中央銀行の発表によると、2024年第3四半期末のフィリピン銀行・信託部門(銀行業界)の不動産セクターに対する投融資残高は3兆2,200億ペソだった。前年同期末(2023年9月末)の3兆0,800億ペソから4.5%増加にとどまった。
2024年第3四半期末の住宅用不動産ローンは前年同期末比8.1%増の1兆0,700億ペソ、
商業用不動産ローンは7.8%増の1兆7,800億ペソと実需は増加している。
しかしながた延滞不動産ローンは前年同期末と比べて9.9%増加した。さらに不動産投資残高は3,764億ペソで、前年同期末の4,457億ペソから15.5%減少した。
これは、過去10年間で投資が過熱化しコロナの影響で投資が止まったこともあって、投資物件にたいして需要が少ないこと。供給過多のサインが顕著に表れだしていると思われる。
また、背景には不動産セクターに対する投融資の低い伸びは、長引くインフレ懸念と金利高騰が影響していると考えられる。これらの結果、第3四半期末の銀行業界の総投融資残高に占める不動産セクターへの投融資残高比率は19.55%にとどまり5年ぶりの低水準を記録した。
また深刻なのは新築と中古物件の価格差が大きくなっている。MAKATIやBGC、オルティガスエリアでは1SQM30万PHPから40万PHPの高額物件が新築プレビルドで販売されているが、すでに竣工した中古物件が同地区で半額程度で販売されている実態がある。新築を買うより中古を半額で買ってすぐに運用したほうが利回りが大きいのだ。新築と中古のギャップが大きくなっているので、新築の価格が値下がりするか、上昇しづらい環境になっている可能性がある。
【10/18】フィリピンが世界の成長の牽引役に ― S&Pグローバル・レポート